合気道は力でやるものではありません。よく言われることとして、「老若男女できる」という特徴があります。それは、多少体格差があっても大丈夫ということです。ちなみに体格差により最も影響するのは、力の強さです。体格が大きいほど力があり、体格が小さいほど力がない。子供よりも大人の方が力があります。子猫よりもライオンの方が力があります。一般的な競技であれば、体格差は勝敗にかなりの影響を及ぼします。しかし、合気道は勝ち負けを競いません。合気道は、力対力で争うものではないのです。そのような中、老若男女できるというのは、力では敵わない相手に対しても技を決めることができるということです。その一つのアプローチとして、「力学的な働きを利用する」という考えがあります。力学的に攻めることで、元々の力の差を無いものとするのです。いくつか例を挙げてみましょう。●コマの原理コマは大きいほどゆっくり回ります。逆に小さければ速く回ります。さらにコマの軸が真っ直ぐに立っていないと回ることができません。こういった考えから、四方投げでは自分の軸を真っ直ぐに立たせ、相手に対して小さく回るようにして振り返ると技が決まりやすくなります。振り返るときに相手に手を持っていかれる人は、自分が回る位置を確認しましょう。●ベクトル相手が動く方向と逆の方向に押すと、力がぶつかります。力がぶつからないのは、相手と自分との力の角度が小さい方向です。入身転換は相手が手を掴みに来た方向に沿わせるようにして行うと、抵抗がなくなります。また、そこから上段呼吸投げに入る際も、相手を投げようとする意識だとぶつかる方向に持っていくことになります。そうではなく、相手の手を上に持っていくようにして投げれば、力はぶつかりません。●重心への働きかけ物には重心があります。重心とは、その物体の重さの中心のことです。重心に力が及ぶように働きかけると物体は楽に動かせますが、重心がズレたまま力を加えても動かすのは大変です。入身投げでは、相手の後ろの肩に手を回しますが、それよりも抑えた手を回して投げたくなります。しかし、相手の重心とズレた方向では動きません。できれば相手の重心に働きかけたいところです。そのためには、肩の方の手で相手を誘導するのが効果的です。イメージとしては、社交ダンスで男性が女性を後ろからそっと寄り添ってリードする場面です。●全身の力を利用する相手に負けまいと投げてやろうとする意識が強いほど、手に力が入ります。そうすると体の力が使えずに手だけになるので、却って力が使えないのです。筋肉量として、腕の筋肉よりも背中の筋肉の方がたくさんあるのでそれを使った方が力が使えます。座技呼吸法では、相手を横に転がす意識だと手だけでやることになります。背中の筋肉も含めた全身の筋肉を使うためにも真っ直ぐに前に押し出すようにすると良いでしょう。但し、そのまま前に押し出すと相手は後ろに倒れてしまうので、少し角度をつけて自分は真っ直ぐに押すと相手に力が伝わります。以上、簡単な例を挙げましたが、それ以外にも多くの考え方により、技を決めることが可能です。力の伝わりやすい場所、力を入れやすい方向などを考える必要がありますが、そこで邪魔するのは相手を投げようとする意識です。それをなくすのも精神修行のひとつとなります。合気道は、心の修行になるのも特徴的です。私たちはそんな考え方を中心に稽古しています。ご興味があれば、ホームページにお越しください。 https://koenjiaikido.localinfo.jp/
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