『八卦掌原型・清朝護衛官武術「転掌」から学ぶ自分護衛術』の「はじめに」を公開いたします。 当書籍は、電子書籍・ペーパーバック版の2種類で発売されています。 電子書籍で購入された場合、アップデートが行われた場合、常に最新版で読むことができます。 電子書籍版の販売ぺージ|https://amzn.to/4hSwLdG ペーパーバック版の販売ぺージ|https://amzn.to/40XExwb ■はじめに 本書は、八卦掌の原型である清朝宮中内護衛武術「転掌」と、転掌術理によって再編成された八卦掌「転掌式八卦掌」における護衛技術段階のひとつ「一定時間生存し続け囮(おとり)となって護衛する」技術の習得方法を説くものである(本書では、転掌と転掌式八卦掌は同じ術理で構成された技術体系のため「転掌」と呼ぶ)。日本初の、八卦掌原型武術「転掌」の基本部分を解説する内容となる。 「一定時間自分を生存させることで囮となり護衛する」段階は、「自分を一定時間護衛する段階」とも言い換えることができる。自分護衛の段階、つまり護身術の段階である。よって転掌を護身術として学び利用したい方、もしくは近代八卦掌を護身術をして学びなおしたい方に、本書は大いに役立つだろう。 そのような目的の読者に「一人で練習することができる基本部分」を、型だけでなく術理をも公開し、型の理由を知ったうえで練習に取り組むことができるように解説した。よって、小手先技術の習得でない身法から理解し習得する、本物の護身術を志す者にとっての教科書となり得るのである。 本書では、転掌における根幹的技術である斜め後方スライドの対敵身法「単換掌の術理」を公開している。護衛武術たる転掌の、自分護衛の技術段階を直接実現するものゆえ、ここでしっかりと学んでいただきたい。指導者に就き学んでない独学の諸氏らに配慮し、単換掌のシンプル版ともなる「推掌転掌式」で、敵に背を向けないで行う斜め後方スライドを練習していただき、「蓋手掌転掌式」で、敵に一瞬背を向けて(ひるがえって)行う斜め後方スライド身法をも理解してもらう。 このふたつの身法を理解することで、移動戦の最中に接近してくる敵に、必要以上に近づかせない技術、身体を逃がしながらあしらう技術、不意に急接近された時に掴(つか)まれるその直前まで回避し得る技術を習得できる。 転掌の技法は、敵の力とぶつからないスタイルを採用している。言い換えると、敵の突進に対し、自分の身体を反対側へ移動させ、「共に下がりながら」打ち合わない状態で攻防するのである。よって、現代主流の、変則華麗な技法で敵と打ち合い倒すことを主眼とする格闘技化した八卦掌(以下「近代格闘術八卦掌」と呼ぶ)の精密高度な制敵技法を学ぶよりも格段に一人練習がしやすくなっている。近代格闘術八卦掌であれば、制敵練習において人を使った対人練習が常に必要となるが、転掌では、身体に動作をしみ込ませる際、一人練習による膨大な繰り返しで、その技術の精度をある程度高めることができるからだ。 しかし当然、その全部を独学で極めることができるものではない。転掌も、間合い(敵との距離)が離れていても、制敵技法を要する武術であることに変わりはないからだ。独りよがりを避け、実際の戦いの場で「こんなはずではなかった」と感じないためにも、転掌に精通した者の指導を受ける必要がある。 本書にて示す内容は、創始者・董海川師が転掌を創った当時のままの、転掌の護身技術のエッセンス(ここに出し惜しみはない)と、それを理解したうえで取り組む一人練習である。対人想定練習は、対敵をより具体的に想定した練習ではあるが、実際に打つ動作や間合いの精度を高めるための「独り練習」である。もし学ぶ環境に身を置くことができる術があるならば、そこから先は、指導者との対面学習を通して、実戦における感覚を養ってもらいたい。 お住まいの地域に指導者がいなく、かつ遠方へ行く術もない者(例えば学生など)もいるであろう。その場合は、本書の術理解説部分をしっかりと読み、動作を学習した後、知人・友人・家族に、実際に追いかけてもらい、技で対抗する経験をしてもらいたい。それだけでも、水式館ホームページ内で公開している、敵に対する私の動きとの比較ができるはずである。敵目線から見た私の動きをイメージしながら練習するのが、指導を受けられない独習者にとって最良の方法となるであろう。 水式館が年に数回開催する転掌・転掌式八卦掌の講習会を利用するのもいいだろう。転掌の指導門は水式館以外には無い状態ゆえ、時間が許す方は、金沢もしくは愛知まできて対面で指導を受けてもらいたい。水式館の通信講座部にて一人練習法を学習し、人に追ってもらった練習を指導部に見てもらってアドバイスを受けるのもいいだろう。独学者は、今できる範囲内のことをし続け、機会を見て思い切り飛び込んできて欲しい。 自分護衛術たる護身術とは、最も大切な「自分の命」を守るための、最もシビアな技術体系である。命がかかった技法ゆえ、「お気軽に」「楽に」「わずかの時間で」済ますことはできない。転掌はその成立背景から、割と短期間で「一定時間生存術」を習得できる技術体系を持っている。しかし繰り返しによる積み重ねが必要なのは変わらない。当書籍を手に取ったあなたが、実際に戦うことまで想定して指導することが可能な、良き転掌の指導者の下で学ばれることを願っている。 電子書籍版の販売ぺージ|https://amzn.to/4hSwLdG ペーパーバック版の販売ぺージ|https://amzn.to/40XExwb
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