ページ隅に折れがあります。(写真③④) 40年以上前の発刊です。全体的にくすみがあります。 『Xへの手紙・私小説論』 小林秀雄:著 新潮文庫 昭和53年 20刷 縦:15cm 横:10.5cm 厚さ:1cm 「知の巨人」の思想がすでに表出する、青年期の創作から初期の評論、中期のエッセイを集める。 文芸批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動のあらゆる萌芽を含む『様々なる意匠』。人生観、ことに女性観、芸術論、社会批評などが、鋭く、渾然一体となって述べられた『Xへの手紙』。わが国に特有な私小説を見事に解剖した『私小説論』。その他、『一ツの脳髄』『女とポンキン』等の初期創作から始まって、中期以降戦後に至るまでの主要な論文、感想を収録する。用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。 本書収録「様々なる意匠」より 吾々にとって幸福な事か不幸な事かは知らないが、世に一つとして簡単に片付く問題はない。遠い昔、人間が意識と共に与えられた言葉という吾々の思索の唯一の武器は、依然として昔乍らの魔術を止めない。劣悪を指嗾しない如何なる崇高な言葉もなく、崇高を指嗾しない如何なる劣悪な言葉もない。而も、若し言葉がその人心眩惑の魔術を捨てたら恐らく影に過ぎまい。 本書「解説」より (『様々なる意匠』)で小林氏が語っているのは、結局ひとつのことである。つまり、「宿命」――自分の「死」を自ら所有すること――という見地からすれば、あらゆる文学は「意匠」にすぎぬ。逆にいえば、「宿命」をわが手に握ったとき、人ははじめて「文学」たりうる「意匠」をまとうのだと。――江藤淳(文芸評論家) ※『様々なる意匠』は『改造』の懸賞論文第二席入選(昭和4年)。第一席は宮本顕治(後の日本共産党書記長)の芥川龍之介論『敗北の文学』だった。 小林秀雄(1902-1983) 東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。以後、「アシルと亀の子」はじめ、独創的な批評活動に入り、『私小説論』『ドストエフスキイの生活』等を刊行。戦中は「無常という事」以下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。1967年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(1977年刊)で日本文学大賞受賞。
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