War Thunderというゲームがある。今でこそ陸・海・空の3つの戦場でそれぞれ各国の兵器を駆って戦場で華々しく戦えるが、少し前までは陸と空しかなかった。さらにその前は空だけだった。なんかギネスとか持ってるがとりあえずそんなゲームだ。 海がこの世界に誕生する前からWar Thunderをしていた僕は、陸の王者たる戦車に惚れ惚れしていた。特にWW2で数多くの伝説を残すドイツのティーガー1に。するとある日傾斜装甲が強化され、宿敵たるソビエトのT-34が生き生きしだした。もっと大きい主砲ぶつけりゃ死ぬでしょ。僕は、陸の王者たる駆逐戦車に惚れ惚れしていた。特にWW2末期に特に名を残さなかったドイツのヤークトティーガーに。するとある日至近距離に詰めてきた仇敵たるソビエトのT-34が生き生きと128mm砲を弾き、僕は怒り狂い、紅茶の国に療養することになった。そこでは、暫くの安穏があった。傾斜装甲だろうとセンチュリオンmk10の粘着榴弾は憎き宿敵たる仇敵のソビエトのあらゆる戦車を打ち砕いたし、主砲の発砲音も勢いよくお尻をシバいた音がして痛快だったからだ。するとある日、粘着榴弾が息の根を引き取った。戦車兵としての生き方に疲れた僕は、海軍士官の道を志した。 軍艦と言われてなんとなく思い浮かべる軍艦はなんだろうか。日本人なら大和をなんとなく思い浮かべるかもしれない。大海原に響き渡るド迫力の戦艦同士の砲戦、しかし希望に満ちた全世界の海軍士官の前に現れたのは、なんかよく分かんないボートみたいなのに機関銃載っけたやつだった。酢飯だけの海鮮丼を出された世界中の海軍士官は怒り狂い、浅瀬でコーストガードオンラインを繰り広げた。とある日、運営は「光あれ」と言った。すると、駆逐艦があった。皆が求めていた建艦競争の始まりである。 しかし望みが叶ってみると、大海原はなんとも広くつまらない物だった。出撃と同時に目の前に広がる回避不能の日帝の酸素魚雷、迎撃不可能な高度からの爆撃機による陰湿なイジメ。間を開けて運営は「光あれ」と言った。すると、巡洋艦があった。しかし望みが叶ってみると、大海原はなんとも広くつまらない物だった。出撃と同時に目の前に広がる回避不能の日帝の酸素魚雷、迎撃不可能な高度からの爆撃機による陰湿なイジメ。間を開けて運営は「光あれ」と言った。すると、皆が真に待ち望んでいた戦艦があった。しかし望みが叶ってみると、大海原はなんとも広くつまらない物だった。出撃と同時に目の前に広がる回避不能の日帝の酸素魚雷、迎撃不可能な高度からの爆撃機による陰湿なイジメ。ついに心が折れた海軍兵たちは、海から少しずつ去っていった。 そもそも現実における軍艦同士の砲戦とは、なんとも間延びしたものだった。GPS/INSもなしに「なんとなくの場所」に、「遅い砲弾で」、「常に動く相手に」当てるために撃ち合う。戦中フェイズドアレイ制御をしていた米軍ですらレーダー射撃の精度は極めて低かった。数時間も撃ち合う戦いを、数十分間で終わるゲームに落とし込む。なかなか、難しかった。 それでもそれぞれの戦いは確かに輝いていた。スプラッシュマウンテン並みの待ち時間、狂う分隊員、クランメンバーの冷ややかな失笑、謎の怪文書大喜利、猿叫する分隊員、実質東京ディズニーシー、月月火水木金金。ろくな思い出がない。だが間違いなく美麗なグラフィックからの味方との艦隊運動からの手に汗握る海戦バトルはそこにあり、色んなバランスが崩壊していたがそれでも童心を満たすだけのロマンはそこにあった。あとデジタル艦船模型としての保有欲も満たせた。場所取らないのっていいよね。 つまらないとだけ書くと短すぎるしそうでもなかったとせめぎ合う自分の中の心がこれを書きました。久々にWTプレイヤーの方にDMを頂いたせいだと思います。同じく屈折した思いを持つ復員兵の方はいらっしゃらないでしょうか。いらっしゃいませんね。いらっしゃればもう一回分隊を組むか飲みに行きましょう。これは脅しです。
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