日本の看取りの文化は数十年で大きく変わり、看取りの場の多くが自宅から病院や施設へと移りました。昔は大切な人を自宅で看取り、そしてその後の四十九日間や一周忌までを家族で大事に過ごしました。その時間がご家族それぞれのグリーフケア(悲しみを癒す)として機能していたのです。しかし現代では誰もが忙しく、ゆっくり看取り、ゆっくり喪に服するという時間のゆとりが十分には持てません。ところで来年2022年に「遷延性悲嘆症」という病名が新たに設けられるそうです。悲しみを癒すことが難しくなっている現代の人々に対して、愛する人を失った悲しみが精神障害や肉体の痛みへと変化し重篤化する前に保険診療を提供することで対処したいという国の施策です。大切な方を亡くして感じる悲しみや苦痛が落ち着くことは、日常生活を送る上でとても大事なことです。そして死別という体験を整理することが大なり小なり人には必要なことでしょう。これまでの人生と死別体験をした後の人生とでは、自分の人生に対する感じ方そのものが変わることが多いからです。学業や仕事等あらゆるものが数の値で評価され、自分が満足できる値によって安心を得ているのが私を含めた現代人の姿でしょう。何かを失くしても値(地位やお金や成績)を支えに失っていないかのように取りつくろうことができます。大切な何かが壊れたら、また買えばいい。挑戦に失敗したらリセットして次に向かえばいい。もちろん物事をテンポ良く前向きにとらえていくことは生活を豊かにしますが、物事の味わいや深みが感じにくい社会に私たちは生きているのかもしれません。しかし大切な人の死はこれまでの場面とは異なります。突然訪れた深い悲しみや苦しみに対処することに忙しい私たちは基本的に慣れていません。私は自分にも何かできないかと考え、これまで急いで必要とする方を優先して個別にケアするということを行ってきましたが、この度「総合葬祭二葉(ふたば)」という会社が印西市木下に所有する「二葉リビング」という施設をお借りして「グリーフケアのつどい」という自助グループをはじめることにしました。こちらは一見葬儀会館とは思えない喫茶店のような雰囲気の建物です。自分は特にケアを必要としないと思われる方でも、心に新しい風を取り入れるような気軽な気分で参加してもかまいません。逆に医療を継続して受けておられる方については医師とご相談なさってからご検討ください。どうぞよろしくお願いいたします。
※問い合わせは会員登録とログイン必須です
コメントは公開されます。
短いコメントはご覧になった他のユーザー様が不快に感じることがあります。
登録した条件で投稿があった場合、メールでお知らせします。
利用規約 をご確認の上、登録をお願いします。