裏表紙カバーに5mm程度の破れがあります。(写真③) 背表紙カバーに5mm程度の破れがあります。(写真④) 小口部分に日焼けがあります。(写真⑤) 50年以上前の発刊です。全体的にくすみがあります。 『武蔵野』 国木田独歩:著 新潮文庫 昭和45年 42刷 縦:15cm 横:10.5cm 厚さ:1cm 詩情溢れる筆致で自然美を綴った表題作ほか18編を収録。 浪漫主義と抒情に出発した初期の名作18編を収録した独歩の第一短編集。詩情に満ちた自然観察で武蔵野の林間の美をあまねく知らしめた不朽の名作「武蔵野」、自然を背景にした平凡な人間の平凡な生活のうちに広大な一種の無限性を感じさせる「忘れえぬ人々」。ほかに「源叔父」「河霧」「鹿狩」など、簡勁で彫りのふかい文体と、内容にふさわしい構成の秀抜さを示す作品を収める。 武蔵野 郊外 わかれ 置土産 源叔父 星 たき火 おとづれ 詩想 忘れえぬ人々 まぼろし 鹿狩 河霧 小春 遺言 初孫 初恋 糸くず 注解 三好行雄 解説 吉田精一 本書収録「武蔵野」より 時雨が私語く。凩が叫ぶ。一陣の風小高い丘を襲えば、幾千万の木の葉高く大空に舞うて、小鳥の群かの如く遠く飛び去る。木の葉落ち尽せば、数十里の方域に亘る林が一時に裸体(はだか)になって、蒼ずんだ冬の空が高くこの上に垂れ、武蔵野一面が一種の沈静に入る。空気が一段澄みわたる。遠い物音が鮮かに聞える。 国木田独歩(1871-1908) 1871(明治4)年、下総銚子生れ。山口県に育つ。東京専門学校中退後新聞記者などを経て、1897年田山花袋らとの合著『抒情詩』で詩人として出発。次いで、1901年短編小説集『武蔵野』を刊行。自然の中に人事を見つめる小説家へと転身した。その後発表した『牛肉と馬鈴薯』『春の鳥』は自然主義文学の先駆として迎えられた。1908年茅ヶ崎で死去。没後、『欺かざるの記』刊行。
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