仁義ある戦い ―アフガン用水路建設 まかないボランティア日記― | 杉山大二朗 |本 （投稿ID : 12rwns）

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仁義ある戦い ―アフガン用水路建設 まかないボランティア日記― | 杉山大二朗 |本


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仁義ある戦い ―アフガン用水路建設 まかないボランティア日記― | 杉山大二朗 |本 |


現場で見た医師・中村哲。 干ばつと戦乱のアフガニスタンで 全長26㎞の用水路建設に挑んだ 中村哲医師と共に過ごした6年の日々！
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　もう随分と昔の映画なので知らない人も多いが、かの「仁義なき戦い」に絡めた題名であると思って間違いないだろう。


菅原文太


　仁義なき戦いを紹介するものでは無いので映画の内容は省くが、テーマソングはいまだに有名で、ほとんど誰でも知っているものの、若者には、和田あき子や竹内力が沈黙するとなぜか流れる「怒りや恐怖感を表す効果音楽」とだけ認識されている。

【仁義なき戦いのテーマ】 https://open.spotify.com/track/2bdlu1kp5v8pU9e1cyqiRv?si=ypiOUNZdQqC7-fFJu6yYXQ




　さて、副題の、「アフガン用水路建設」の部分で察した人も多いと思うが、この著作は、内戦で治安が乱れるアフガニスタンに於いて、銃器ではなく「重機を操る医師」として世界的に有名な中村哲医師を中心として、気温50度を超す乾いた大地で、共に何年間も灌漑工事をおこなった著者たちの物語である。



さらに、「まかないボランティア日記」と続くのは、著者自身料理が得意で、現地でまかない料理担当をしていたことから。

思わず、堺雅人が料理人を演じた「南極料理人」を思い出したが、極寒でも、灼熱の地でも、食事が人の喜びと生命の源になっているのだと改めて感じた。






なぜ、この物語に、「仁義」と言う言葉を用いたのか。
と、その前に、仁義と言う言葉は知っていても意味がわからない人も多いのではないだろうか。

私が所属していた極道組織では、大体はどこの事務所にも立派な「仁義」「任侠」の文字彫刻が飾ってあり、40年ほど前に自身でも意味を調べてみたのだが、すっかり忘れていたので再度調べてみた。

ちなみに、男はつらいよの寅さんで有名な「仁義を切る」は、ヤクザの口上挨拶のことであり、
「おひけえなすって、手前生国と発しますは！愛知は名古屋でございます。名を小太郎、性を安田と申します・・・」のようなものになる。

辞書には以下のような記載がある。


① 仁と義。 「仁」はひろく人や物を愛すること。 「義」は物事のよろしきを得て正しい筋道にかなうこと。 孟子の主要な思想で、儒教で最も重んじる徳目。


まあ、実際に現代のヤクザ者でこの理念を理解し体現している者は、私の知る限りでは居ないようだが、一般人には、もっと少ないかも知れない。

話がすっかり逸れたが、その点、この中村哲医師こそが、それを体現する人物であったことは、一度も会ったことがない我々でも十分に知ることができる。

それでも、異邦人でありながら祖国に多大な恩恵をもたらした中村哲医師を殺害してしまう武装勢力が居るのも事実だ。
（2019年の12月、護衛班やドライバーも全て殺害された）

（今やインド人になり、衰退したインド仏教の復興に粉骨砕身尽力した佐々井秀麗上人も何度となく暗殺されそうになっている。本日現在来日中2023/06/19）

中村哲医師の強固な信念と、優しさと厳しさを併せ持った人柄は有名だが、

「仁義」と言えば、中村哲医師の祖父は、玉井組の親分、玉井金五郎である。

その玉井組の二代目で、芥川賞作家の長男玉井勝則は、ペンネームを火野葦平と言い、のちに玉井金五郎と妻のマンの半生を描いた「花と龍」は、高倉健などを主役に映画化され、村田英雄の同名の主題歌も有名なところだ。




その血筋を引いた中村哲医師を表す言葉として、以下の言葉が紹介されている。

「誰もが行きたがらないところへ行き、誰もがやりたがらないことをする」アメリカの教育者メリー・ライオン女史（内村鑑三が紹介）

そして、中村哲医師のモットーは、結果にこだわるよりも、まず楽しもう。と言うことも書かれていた。


中村哲医師のことを、「優しさと厳しさを併せ持った人柄」と紹介したが、

外国人の誘拐や殺害が次々と起こる中、著者に帰国を勧める中村哲医師に対して、「側で働きたい」と著者が食い下がった際、
（著者と共に働いた日本人ワーカーも誘拐殺害されている）

中村哲医師が著者に伝えた愛ある厳しい言葉は以下である。

「君の気持ちは有り難いが、（中略）敢えて言うが、君は足手まといだ、君はまだ若い。日本でまだ働くこともできる年齢だ。今まで働いてくれたことに感謝する」

上辺の打算的な優しさで発することは無い言葉だ。


なお、著者は現地赴任中に、交通事故に２度遭う被害を受け、極度の頚椎ヘルニアになっても、再び現地を訪れ過酷な任務に就いている。

そんな著者に足手まといの言葉を浴びせるのは、辛かっただろう。

中村哲医師が、渡世の親分であったなら、未来ある若者を助け、自分が最前線の戦いに挑む、仁義ある侠客に違いない。


オツカレ！　最高労働者　小太郎