漫画家さん、募集! (投稿ID : lc3x2)

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更新2022年9月19日 09:55
作成2020年10月30日 16:06
閲覧数:857

はじめまして😊

yuu太郎と申します。
さいたま市に住んでいます。

ひとりで短編小説や詩を書いています。

この度、この掲示板に自分の短編小説を掲載してみようと思います。

この小説を読んで、イラストをつけてくれたり、漫画化してくれてる人を募集します。

また、一緒にやってくれる人のためにも新作を作ります!

作品に興味を持ってくれる人がいたら、ぜひご連絡下さい。他の作品もお見せします。

東京都の方の場合はわたしがそちらに向かいます。
よろしくお願いします。

それでは物語をご覧下さい😊


   「嘘しか言えなくなるコーヒー」


「はい?」と私は聞き返した。
 「いや、だからブラック・コーヒーを」と男は真顔で私に告げた。

 沈黙。
 時刻は深夜2時になろうか……
 まるで、貧乏神とでも接見しているみたいだった。
 気味悪くなって、とりあえず、父に教えられた通りコーヒーを作った。
 男は、なんだか不機嫌そうな顔をして、本に目を通している。私はなるべく穏やかを装って、テーブルに座る男の前にコーヒーを差し出すと、彼は僅かに顔を綻ばせて黙々とノートを取り始めた。

 私は時間が経過するのがこんなに苦しく感じられたことはない。
 熱心に、丹念にノートをつけている。
 バカバカしい。
 男をせせら笑っているようで、彼の姿をちらちらと目で追う自分がいた……。

 明け方、私はシフトを終えて店を去ろうとした。
 すると、もう顔なじみの、(父兼マスター曰く)ゲームの専門家(だと言っていた)のおじさんが、私の顔をちら、と眺めるなり、ニヒルな笑みを浮かべていた。
 気持ちが悪い。
 私は逃げるようにその場を立ち去った。

 私はその晩のことを、女友達に打ち明けた。
 さんざん罵った。
 「だいたい、男ってのは……」とか、
 「あれは女を知らないんだ」とか、
 そういった類のことを、せせら笑いしながら電話していた。
 友達は、私といっしょに笑ってはくれたけど、どことなく嫌そうにしていた。

 ストレス発散して、忘れかけた頃、またあの男は現れた。
 男は瞳が合うと即座に目をそらす。
 「童貞!」
 私は心の中で罵りながら接客した。
 なぜか私の憮然とした態度は伝わるらしく、男は、ずっと苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべていた。
 席について、ものの10分もしない間にコーヒーを飲み干すと、男はさも汚いものでも見るように私に一瞥くれて、さっさと外へ出て行ってしまった。そして二度と店に姿を現すことはなかった。

 私はその日のことを友達に話した。
 「自意識過剰な男って、なんか扱いにくいよね~」等々……。
 友達は「あきれた」と言いたげな雰囲気を漂わせて、それ以上私がしゃべるのを嫌がった。


ある夜、私はつきあってる彼と、小汚い中華料理店で夕食をとるはめになってしまった。
 「まあ、しかたがない」。腹の中でつぶやいて、店に入った。

 するとあの男が食事をしていた。

 中華のお店は、日本語のおぼつかない、中年の中国人と思しき夫婦が、二人三脚で経営していた。
 カウンターの客も、店主も、どこかあぶなっかしい笑顔を湛えながら、片言の日本語で意思の疎通を図っていた。
 あの男はといえば、おかみさんの心からの歓待を受けて、恐縮している、といったふうだった。

 ばれないようにしなければ……

 彼には聞かれたことだけ答えるようにしていた。その間、ちらと男を見た。

 食べ方は意外と上品だ……。

 彼は、どうもそっけなく感じたらしく、口数が減ってきた。
 間もなく、おかみさんがメニューを持ってきた。そして「今日のおすすめ」を明るく口にした。
 「じゃあ、それを」
 彼とは目で会話して、お互い了承している感じでいた。

 それにしても、また……。
 私は時間が経過するのが、こんなに苦しく感じられたことはない。

 彼とウーロン・ハイを飲みながら、取り繕うようにその場をやり過ごしていた。
 「見るんじゃなかった……」
 なんて心中つぶやいて、会話をしていると、10分後くらいに料理が運ばれてきた。
 坦々麺と炒飯のセット。
 いい匂いがした。
 「いただきます」と言って、彼が口をつけたのを見てスープを飲んでみた。
 不思議な味だった。どんどん箸が進む。坦々麺は、甘みと酸味のバランスが絶妙だった。炒飯は脂から自然な甘みが感じられた。味の秘密はさっぱりわからない。だけど食べずにいられない。

 カウンターの客は、テレビの画面を目で追いながら、ぽつりぽつりと会話を交わしていた。笑い声は聞こえるのだけど、無遠慮な感じはしなかった。

 なんていうか、心地良かった。
 料理の味。店の雰囲気。
 店主は、満足そうな笑みを浮かべて料理を作っていた。

 あの男……。
 ちら、ちらと店主を目で追いながら、なにやら一人で感じ入ってる様子だ。
 私は見てしまった。
 男は、一瞬、悲しげな表情を浮かべて、無表情になった。次の瞬間、馴れない笑顔を作って、明るく「お勘定お願いします」と言って、愛想をふりまいたつもりになって店を出た。

 男が店を出た後、気のせいか、料理から味が抜けたような錯覚をおぼえた。

 
 それから、あの男の姿を見たことはない。

 でも中華料理店の3カ月後くらいに、一度だけ店にやってきた。

 まあ、おずおずとした様子で。

 彼は、相も変わらず深夜にやってきて
 「あの、コーヒーを」と言った。
 私は「はい」とだけ答えた。
 男は私を見るのも忌々しそうにしていたので、
 「あの、お客さん。今夜コーヒーを飲んだら、きっと嘘しか言えなくなっちゃいますよ」
 と冗談交じりに伝えた。
 男は何を言っているのか、さっぱりピンとこない様子で、
 「この女、またおれに恥をかかせるつもりだな?」
 とでも感じたらしく、まるで取り合わない、といったふうを装って
 「コーヒーお願いします」
 と語気を強めて言った。


 嘘しか言えなくなるコーヒー。


 果たして、その効果はあったらしく、お勘定の際、彼は例によってピントの合わない、不思議そうな表情を浮かべて、最後にはにかんだ顔をして「ありがとう。おいしかった」と私に伝えた。瞬間、体のバランスを失った彼は私に覆いかぶさる一歩手前の姿勢になった。緊張して呼吸を止めている彼の唇に、私は自らキスをした。

 そう、私が出したコーヒーはアイリッシュ・コーヒー。

口づけを交わした後、彼はやっと自身にふさわしい笑顔を見せると、ゆっくりと店を後にした。

また来るかな?
それとも、もう来ないかな?
不気味な男。
でも生きていてほしい。

 その夜のことは、友達にも彼にも誰にも報告したくなかった。


おしまい。

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活動場所 -
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