長野県の北部、新潟県にほど近い場所にあるのが野沢温泉村。 冬になるとウィンタースポーツをするために日本各地からはもちろん、海外からもたくさんの人が訪れ、人口3,000人ちょっとの村が大いに賑わいます。 住吉屋は、車のすれ違いができないような狭い道の少し急な坂の上、 源泉の硫黄の匂いと湯気が建物に当たるくらいの近さあるのが「住吉屋」です。 その麻釜熱湯噴湯(おがまねっとうふんとう)と呼ばれる源泉の熱さは、100℃近く。村の住民は、野沢温泉発祥の野沢菜や他の野菜を洗ったり、茹でたり、卵を入れてゆで卵をつくるなど日常的に使われています。 村の日常風景と隣り合わせに位置しながら、明治2年創業という歴史ある旅館のなかで、お客様にゆったりと和んでいただくのが私たちの仕事です。 創業から155年が経ち、リピーターのお客様と長年働き続けてくれているスタッフに支えられて、ここまでやってこられました。 そんな今だからこそ、先代の大女将と女将、今後を担っていく30代前後の若い2人の経営層の3世代が一丸となって、もう一度「住吉屋のあるべき姿」を見つめ直している最中です。 お客様からもらって嬉しい言葉のひとつに「また住吉屋に来たいから頑張る」という言葉があります。 「スキーをするために野沢温泉村へ行く」ではなく、この先は「住吉屋に泊まるためにわざわざ野沢温泉村へ行く」ような、お客様の「生きがいとなる宿」を目指しています。 <1日の流れ> 【7:00 出勤】朝食の準備 まずポットにお湯を汲んだり、温蔵庫からお皿を出したりと、ご飯を提供する直前の用意をするところから始まります。 【7:30〜8:30】朝食の提供 自分が担当するお客様の食事時間に合わせて、熱いものはあつあつで、冷たいものは冷えた状態で提供します。その際、旬や土地の食材を使用した食事の内容を説明します。 お客様が「今日は、どこに行こうか?」と楽し気に交わされる会話の邪魔はせず、 「どうしよう?」と困っていたら、お話を伺いながらご案内するなど 状況を見ながら接し方を変えていきます。 【8:30〜9:00】休憩 30分の朝食休憩(まかない) お客様への配膳が終わったら、自分たちの食事の時間。 野沢温泉のコシヒカリ、信州味噌のお味噌汁、納豆、お漬物、料理長が作ったご飯のお供などで朝一番の栄養補給をします。 【9:00〜9:30】食事場所の朝食下膳 重たい食器を持っての、階段の上り下りがあります。 最初のうちは筋肉痛になることもありますが、毎日やっていると身体が慣れてきます。 【9:30〜10:30】客室、食事場所の清掃 まずは、鴨居や照明の笠といった目と手が届きにくい部分に、はたきをします。 次に、はたきで落としたほこり、床など、満遍なく掃除機をかけていきます。 最後に、部屋の隅や家具類、掃除機では掃除できない箇所を拭き掃除で仕上げます。 次のチェックインに間に合わせるよう手早く、けれど丁寧に隅々までキレイに掃除をするのが住吉屋流です。 一通り掃除が終わると、TVの裏まで拭き上げてあり、冷蔵庫のフィルターにホコリがなく、畳のへりやふすまのレールなどのゴミが残りやすい場所も1つもゴミがありません。 1人ではなく複数人で一緒に清掃しますし、繰り返すうちにやり方や早さが身に付いてきて、1部屋30〜40分くらいで完了できるようになります。 【10:30〜11:00】休憩 30分のお茶休憩 【11:00〜12:00】館内の清掃 最終チェックアウトが11時の住吉屋では、最後までゆっくりお部屋で寛ぐお客様もいます。 掃除ができていない残りの客室も、この時に掃除をします。 【12:00〜16:00】休憩 各自で昼食(まかない)、16時まで各自家に戻って休憩 【16:00 再出勤】当日来られたお客様の情報共有、夕食食事場所の準備 おしぼりを作ったり、食事場所に暖房を入れたりします。 初めていらっしゃるお客様は、フロント担当が観察したり、やりとりした内容が記載されたホワイトボードを確認し、どのようなお客様なのか把握します。 2回目以降のお客様は、過去の情報を見て、不便がないよう客室を整えます。 例えば、予約した部屋は和室ではあるものの、座布団や座椅子に座りづらい方であれば、イスを用意。ハンガーを通常の倍欲しいという方には、倍の数を置くなど…お客様から要望が出る前にしつらえておきます。 【17:00】休憩 30分の夕食休憩(まかない) 【17:30〜18:00】料理長とのミーティング、夕食準備 お食事は出来上がりをもっていきますが、常温のおばんざいや取り皿などを事前にセッティングします。 左利きのお客様には、お箸を左側へ。 お子さんがいらっしゃるお客様には、かわいい猫のお箸置き…など 客室の用意同様、事前にわかっていることに対して、どうしたら居心地よく過ごせるかを考え、お客様の気持ちが和むおもてなしを心がけています。 【18:00〜20:00】 夕食の提供(接客) コースでの提供のため、夕食は特にゆったりした時間です。また、お客様との接点が一番多い時間でもあります。土地のものを生かしたここでしか食べられない丁寧なお料理をお出しします。 覚えることも多いですが、お客様の喜ぶ顔が見える一番やりがいのあるお仕事です。 【20:00〜20:30】 夕食の下膳、翌日の準備 朝の準備まで終えて、1日のお仕事が終了します。 <住吉屋はこんなところ> ・誰とでも仲良くなれてしまう女将から仲居の仕事を体得します。 現在の女将は勤続25年の8代目。いつもニコニコしている女将は「笑顔」をモットーにしています。美味しいものを食べることが好きで、気になったものは、どんなに忙しくても隙間を見つけては食べに行くフットワークの軽さの持ち主。 「人との距離感を縮めるのが早い」と評される女将は、電車の中で隣に座った見知らぬ男性とその場で仲良くなり、その男性から教わったお店へ足を運んだというエピソードを持っています。そんな女将の側で働くと、人と仲良くなる術と美味しいお店をたくさん知れるかもしれません。 ・住吉屋には経営面を支えている若女将がいます。 幼少期から旅館が日常を過ごす場所であった若女将。旅館・観光系の学校ではなく、大学は自身が一番やりたい道を進みます。大学時代のアルバイトで接客の楽しさを体感したことやずっと女将の頑張る姿を見てきたことで、一度他の業界・業種を経験したうえで将来的に旅館へ戻ろうと都内不動産業でマーケターを経て、現在は住吉屋の経理を担っています。 目の前のことだけでなく、先を見据えて物事を考え、実行する若女将は、改めて企業理念がなぜあるのか?という根本から考え抜き、ここから先の住吉屋をつくっていこうとしています。 これだけ見ると少し厳しそうな印象を持つかもしれませんが、しっかり受け継いだ女将の血筋と末っ子気質も相まって、誰からも好かれる愛されキャラ。とても柔和な雰囲気の持ち主です。 ・リピーターが6〜7割と多く、かつ30〜40年と長く通い続けてくれる人も少なくありません。生まれたばかりの赤ちゃんが大きくなって結婚し、さらにその家族と一緒に親・子・孫の3世代皆で住吉屋へ来てくれるという人の歩みに立ち会える面白さが、住吉屋にはあります。 ・スタッフがお客様を担当するのが1〜2組のため、顧客それぞれに合った対応を考えられます。 ・ハイシーズンには、6万円程度の宿泊代を頂戴している高価格帯の旅館です。お客様に失礼のないように、扉の開け閉めや配膳の仕方、言葉遣いはもちろん気を遣います。 お客様の会話や行動から何を欲しているか考えを巡らせて適宜接しますが、必要なものは揃えて客室に入る回数を最小限に抑えることで、お客様たちだけの時間を邪魔しないことにも気をつけています。丁寧さと相手を尊重する気持ちはそのままに、お話しする際は飾らず冗談を交えたり、気楽にやりとりもしています。 この「お客様の自由時間の多さ」や「会話から感じる親しみやすさ」のおかげで、緊張することなくリラックスして過ごせるという声をいただいてます。 ・歴史ある住吉屋には多くの文化人が訪れ、その中でいくつかご縁ができました。 代表作「のらくろ」を描いた漫画家である田河水泡の漫画や寄せ書き、主に山岳風景を題材にした木版画家の畔地梅太郎の作品、仏教の影響を受け釈迦や観音像の作品を多く残した棟方志功の版画を館内および図書コーナーに展示しています。旅館でもあり、ちょっとした美術館でもあります。 ・部屋の数に限りはありますが、勤務地まで徒歩1分の寮があります。
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