趣味で育てたカブトムシたちがゾクゾク羽化中! 7月初旬から受け渡しスタートしています。 ※ 大事に扱ってもらえる方にペア500円で譲ります。 ※ 残すところ2ペアとなりました! 受け渡し日時は双方の都合を申し合わせて決めましょう! ----- 以下長文 お時間のある方のみご覧ください ------ 【 夏の日 1996 カブトムシ狩り 】 当時20代半ばの私は転勤で熊本の後へ赴任。 職場の上長は私の10歳ほど年長者。 既婚者で3人のお子さんのお父さんでもある方。 不慣れな私を何かと気にかけてくださいました。 お子さんの夏休みの思い出づくりにと、野生の「カブトムシ 採集」を計画したいと相談を受け、総力を結集して情報収集。 綿密な計画を立て当日を迎えました。いざ出陣! 上長愛息は小学校3年生。 大変おっとりした可愛らしい男の子。 都会っ子らしく、首から水筒と虫かごをぶら下げ、ニコニコ した表情が印象的。 上長は、父として愛息に貴重な体験の場を与えるべく、いつ になくヤル気マンマン。 移動中の車内では“大漁”を前提とした、愛息友人たちへの “カブトムシ配布計画”を聞かせられた私。 彼らの期待の大きさに一抹の不安を覚えたのでした。 空気に夏の香りを感じながら大きく深呼吸。 意気揚々と到着した1ヵ所目。 さあ~行くぞ! ⇒ 30分経過 ⇒ 見事空振り! 期待と願いを込めて移動した2ヵ所目。またも空振り! 出発時の勢いはどこへやら、移動中の3名の口数は自然と少な くなっていくのでした。 “三度目の正直”と“二度あることは三度ある”のどっちだ? そう自問自答しながら、前者であってほしいと願うばかりの私。 泣いても笑ってもあと1ヵ所! 林に入った瞬間、私たちは息をのんであたりを見回し、かすか 気配も見逃さないというピンと張りつめた緊張感を発していた に間違いありません。 その時です。上長愛息が声を上げたのでした。 『あそこにおるよ!』 落ち着き払ったように発した、それでいてあどけない声に引き 寄せられたおとなの2人。 見上げた先の木幹に群がるのはまさしく 念願のカブトムシ! 一瞬にしてその場の空気が“静”から“動”へ変化し、胸の奥 からこみ上げる興奮と安堵感。これまでの苦労が吹き飛び、 アドレナリンが大噴出。 持参の虫網に棒を継ぎ足し目いっぱいに手を伸ばす…。 が、しかし届かない! ジャンプも、愛息を肩車してもダメ。届きそうで届かない!! 山の神様はなんてイジワルなのでしょう。 良案はないかと思案してたら上長と目が合いました。 彼の目は心なしか充血気味で 妙に興奮を押し殺した 静かな口 調で私にこう言ったのです。 『木に登ろう!』 上長の胸に秘めたその覚悟たるやハンパなく、私に有無も言わせ ぬほどの情熱と信念が感じられたのでした。 そして彼のその思いは、私に更なる試練を与えることに! 私、実は極度の高所恐怖症。高い所はもちろんダメですが、高 い所を下から見上げるのもビビるくらいの重度のやつ…。 “なすべきか なさざるべきか それが問題だ” 悩んだ挙句、私は声を振り絞り「役立たずですみません…」。 その返事を聞いた上長は即断即決。 『わかった。俺がやる!』👏👏 40歳手前のオジサンが敢然と木登りを始めたのです。 その時ほど上長を頼もしいと思ったことはありません。 断念した私が出来ることといったら彼を下から支えること。 敢然とトライするその背中はかっこよく、私は懸命に彼の背中 やお尻を上に押し上げました。 幹に足をかけて徐々に上り始めたその時です。 “バキッ!!” 本日2回目の神様のイジワル!! 彼のお尻が私の顔にスゴイ勢いで降りかかってきました。 “グキッ!!”往年の名レスラー必殺技を彷彿させる雷電ド ロップもどきが炸裂したのです。 彼と私はそのまま地面に倒れこみました。 意識がモウロウとする私。上長は奇跡的?に無傷。 不屈の精神で再トライする彼。涙なしには語れません(笑) しかし、登ろうにも手をかける枝が見つかりません。 上長はまたもやこちらを振り返るなり、私にこうは発したのです。 『肩を貸せ!』 私を足掛かりにするご提案。彼のアイデアに感服! 上長の執念に感化された私はもう何もためらいません。 「私の体でよければ使ってください!」 上長の目には高所のカブトムシしか見えていません。 私の腕や肩を踏み台にしてドンドン登っていきます。 (この人、まるでカブトムシみたいと思いながら見てました) そして念願のそれをゲット!! 父から放り投げられ、地面に落ちたカブトムシを探す愛息。 そのまなざしはキラキラしていて真剣そのもの。 野生のカブトムシを初めて掴んだ時に見せた、誇らしげな、 それでいて少しはにかんだサイコーの笑顔が今でも忘れら れません。 私たちのこれまでの旅は、この瞬間を迎える為の大切なプロセ スだったんだ、とあらためて気づきを与えられた瞬間でした。 やってよかった! という思いと同時にプレッシャーから解放 された安堵感…。 平常心を取り戻し帰路へつくことに。 あれっ? その時です。寝違えたような首の痛みに気付いたのは。 時間が経つほどにひどくりなり、首が硬直し全然回らない…。 翌日出勤ができず、欠勤報告を上長へ電話連絡。 理由を聞くこともなく上長は優しくこう言ったのでした。 『自己管理も仕事のうち しっかり病院で診てもらいなさい』 (THE END) 《 後 日 談 》 約30年も前のことですが 鮮明によみがえる記憶。 情熱と興奮、希望と絶望、緊張感と安堵感。 短い時間にたくさんの感情が詰め込まれた1日であったことに間 違いないでしょう。 現在、上長も私も当時勤務した会社を離れ、別々の道を歩いてい ますが交流は今でも続いています。 当時を振り返りながら、“カブトムシ狩り”のネタで盛り上がっ て一杯やったり。 気になる愛息は現在30代半ば。今では立派な銀行マン。 数年前に結婚し、仕事と子育てに励んでおられるとのこと。 当時の上長とほぼ同年代にあたると聞いて、時の移ろいを感じず にはいられません。 願わくば、彼が父としてそのお子さんと“カブトムシ狩り”に出 かける日が訪れるとするならば、それはとても素敵なことだし、 少し役に立てたような気がします。 今日は(6/21)夏至。 元気なカブトムシが土の中から這い上がって来る時期。 皆様に「夏の日の良き思い出」が訪れますように \(^o^)/
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